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Nagasaki Symposium on Malaria Biology 2011 (II)

 平成23年11月16日(水)-17日(木)にかけて、参加費無料の一般に公開した国際シンポジウムNagasaki Symposium on Malaria Biology 2011(II)を長崎大学にて開催した。海外から、熱帯熱マラリア原虫が感染した赤血球表面に発現し、脳マラリアや胎盤マラリアなどの重篤化に関係する接着分子PfEMP1について先端的研究を展開している3名の研究者:スウェーデン・カロリンスカ研究所のMats Wahlgren博士、米国・シアトルバイオメディカル研究所のJoseph Smith博士、フランス国立医学研究機構のBenoit Gamain博士が来日した。発表は3名の国外招聘者による基調講演と12名の国内研究者による口頭発表に加えて9題のポスター発表があり、51名が参加した。

 Wahlgren博士は熱帯熱マラリア原虫の病原性の基盤についてPfEMP1を中心に話を進め、ロゼット形成を阻害する抗体を誘導するPfEMP1のエピトープを同定した事を発表した。Smith博士は熱帯熱マラリア原虫で最も重篤な症状である脳マラリアに関連するのは、多数あるPfEMP1の型の中の一部であるという発表を行い、続いて、Gamain博士は妊婦が熱帯熱マラリア原虫に感染する際に発症する胎盤マラリアの原因となるPfEMP1の型と、この型のPfEMP1に対するワクチン開発の可能性について発表を行った。全ての発表について、特に海外から招聘した3名の研究者を中心に活発な質疑応答があり、大学院生から非常に興味深いシンポジウムであったとの意見があった。また、海外招聘研究者からは「日本のマラリア研究のレベルの高さに強い印象をうけた」とのコメントがあった。懇親会では、海外招待講演者と国内若手研究者および大学院生が、国内外の研究環境や研究者の将来について意見を戦わせ、大いに盛り上がった。ポスターセッションでは、マトリョーシカ領域のアウトリーチ活動の一環として、領域の目的や領域の研究体制について発表を行ったことを付記する(金子修) 。